
こんにちは!着物ライターのカナ(@KANA_vintage)です。
今回は浴衣とTPOについて。
”なんちゃら知恵袋”などでもたびたび出てくる質問で、人によって意見がさまざまある問題。
ホテルでの食事会に浴衣はアリ?ナシ?

だって、価値観はさまざまだから…笑
ただ、今回は
- 普段から着物を愛用している
- カジュアルに着る着物が好き
- ルールに縛られずに好きに着たらいいんじゃない?と思っている
- 30代女性
という目線でのいち意見として、お答えしますね。
目次
『浴衣は寝間着』だったので、もとは普段着向きだった
まずは、このことを知っているかどうかで、この問題が気になるかどうかが分かれてきますね。
浴衣はもともとは「湯上りに着るもの(≒パジャマ)」でした。
すなわち、人前に出る格好ではなかったのです。
「街なかへは着ていくもんじゃない」「浴衣でホテルディナーなんて変!」と言われるのもこの歴史からきています。
とは言え、現代では和装(着物でも浴衣でも)=きちんとした衣服、というイメージの方も多く、浴衣で出歩くことに抵抗がない人が増えてきました。
というか、もう時代とともに文化が変わって、「浴衣で出歩いてもいい時代」になったのです。
その”出歩く”のが、近所のカフェまではOKなのか、ホテルのような高級な場所もいいのか、というのが今回の議論。

浴衣の由来を知らない人、知っている人で意見が交錯するのは当然かもしれませんね
ちなみに、
と、以前話していた友人がいたんだけど…私なら…その選択はしないかなぁ。
二次会ならある程度自由とは思うし、新郎新婦の意向もあるので、これも厳密なルールはないです。
大事なのは、その場に招いてくれた人や同じ列席者が不快な思いをしないかどうか考えること。
そもそも、高級ホテル・レストランでは素足がNG
浴衣に合わせる足元は、素足に下駄が基本。
この足元が「カジュアルすぎる」という点も、「浴衣のディナー是非問題」に繋がっているようです。
高級レストランやホテルでは、サンダル履きをマナー違反とすることがありますよね。

こうした、そもそもの「フォーマルとは」を知っておくと、「浴衣にホテルディナーはアリかナシか」の考えがまた変わってくるかもしれません。
”きちんと”感を出して浴衣をドレスアップすればホテルもOK
浴衣を「フォーマルっぽく」着る方法はあります!
それは、中に襦袢を着て(=半衿を出し)、「着物のように着る」ことと、「足袋を履くこと」。
もう少し紐解いていくと。。。
①素材
厚手で透け感の無いコーマ地と呼ばれるものは、普段着感が出やすいです。
対して、
綿絽、セオアルファと呼ばれる薄手のものは浴衣の中でも洗練された印象になり、オシャレ感を出しやすいですよ。
絞りも高級な生地ですので、OKとも言われています。
この違いをワンピースで例えてみると・・・

ネル素材だと近所のカフェ、シルクのワンピだと高級なレストランに着ていきたくなりませんか?
②半衿を入れる
中に長襦袢や半襦袢(肌襦袢に半衿の付いたもの)などを着て、半衿をチラリと覗かせます。
すると、浴衣を夏着物に変身させる事ができます。
(これも①の項目をクリアしていないと野暮ったく見えるので注意。絞りやセオアルファがおすすめですよ)
③足袋を履く
これがいちばん”きちんと感”を出すのに大切なことかもしれません。
先ほども述べましたが、高級ホテルやレストランでサンダル履きがNGなのはご存知の方も多いはず。
足袋を履いて素足を隠すのは、最低限のマナーでもあると思います。

とは言え、涼しげな浴衣にオーソドックスな白足袋は暑苦しく、重たく見えるもの。(何より暑い)
ですので、夏の時期はレース素材の足袋がおススメですよ。
見た目にも涼しげで、着ているの軽やかな浴衣素材ともバランス◎です。

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浴衣で楽しめるホテルランチも


そのパーティーの主催者さんは着付け講師をされている方々。
その方々が「ホテルで浴衣ランチ!」と銘打って開催されていたので、少し迷ったけど、思い切り浴衣を楽しむコーデにしました。
もちろん、集まった参加者さんも圧倒的に浴衣が多かったですし、とても自由に楽しくアレンジされていました。
ラウンジorレストラン、昼or夜でもホテルのルールは変わる
また、ホテルでの食事と言っても、オープンなラウンジなのか上層階のレストランやバーなのか。
時間帯が昼か夜かでも、雰囲気は変わりますよね。
中には、「こんな格好(浴衣)でホテルに入ってくるなんて!」と厳しい意見を言ってくるマダムに出会うこともあります(世に言う『着物警察』ですね)。
着物に半幅帯はカジュアルすぎる、街を歩くなら名古屋帯でお太鼓結びをしなさい!とか、
浴衣でお太鼓結びをするのはちぐはぐだ、とか、
着物が染めものなのに帯が織ものなのはおかしい、とか・・・。
ドレスコードが決まっている場所や、結婚式など”主役”がいるような場所でなければ、「絶対にダメ」な着物・浴衣の着方はないので、にこにこ笑って聞き流しておいていいです!笑
『着物の教科書』は気にしすぎなくてOK
着物に関する書籍やサイトを見ると、たーーーくさんのルールが書かれています。
そのルールをちゃんと学んだ人にとっては、私たちのような「カジュアル着物派」の着方は突っ込みどころ満載でしょう。
もちろん、同意するところ、参考になる意見もありますが、全部聞いて頭が混乱して「あー、面倒くさい。着物って難しい」とやめてしまうのはもったいない!
今まで言われてきた着物に関するルールは、着付けを教室で教えるにあたり、「あえて明文化・体系化したもの」とも言われます。
はじめのうちは「迷ったら参考にする」程度で、まずは自分がワクワクする着物や小物を集めて、好きなように組み合わせてみたら大丈夫。
何度も着てたくさんの着物美人に出会ううちに、素材の組み合わせ、TPOなどが身についていくものです。
ぜひぜひ、楽しく着物を着ましょうね。