こんにちは!着物ライターのカナです。
2019年11月9日に行われた、「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で芦田愛菜ちゃんが着た振袖が話題になっていますね。

「100年前に作られた着物だ!」とネットでは書かれていますが、実は・・・100年も経ってはいないようです。
そこで、今回はこのようなことを勝手に解説してみます!
- 実際はどれくらい古いものなの?
- この着物のどんなところが”スゴイ”の?
- 愛菜ちゃんの着こなし勝手にチェック♬
目次
芦田愛菜ちゃんが着た振袖は昭和初期のもの。すなわち、100年前でなく・・・
芦田愛菜ちゃんが着た振袖は、東京の呉服店・鈴乃屋さんから貸し出されたもので、昭和初期のお着物だそうです。
昭和初期・・・そう、報道にあるように、「100年前」というのはちょっと言い過ぎ。
80〜90年前のもののようです。

・・・と思われるかもしれませんが、着物だって時代によって流行の色合いやできる技術が変わります。

と着物業界の人たちや着物女子たちが「あれれ??」と、報道の直後からザワザワw
「アンティークの貴重な着物」という点では変わらないし、「素敵だな」と思ったところで購入なんてできっこないのですが、どんな時代のものかを知りたいし、写真でも動画でも隅々までチェックしたくなるのです。

刺繍、染め、織り、絞りなど惜しみなく技術を取り込んだ贅沢な振袖
さて、実物を目にする機会は私たちにはなさそうですが、報道の内容を読みつつ、どのようなお着物だったかを見てみましょう!
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引用:「NEWSポストセブン」
柔らかい生成色がベースのお着物。
アップの写真がないのですが、地紋は「紗綾形」と呼ばれる「卍」を連ねたような模様に織られています。
紗綾形は「家の繁栄」「永遠」などを表す縁起のいい模様で、着物の模様によく用いられています。
下の画像が紗綾形の模様↓
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引用:「ホリビト」
また、朱色(オレンジ色?)のような菊は、染めではなく刺繍でできています。
花びらがふっくらとしているのが、遠くからでもわかってとても豪華。
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引用:「NEWSポストセブン」
花を縁どるように「金駒刺繍」という技法で金糸が使われているようです。
もちろんですが、縁取りも花びらも手縫い。
また、全体的に「疋田絞り」「桶絞り」という技法が使われています。絞ることによって生地に凸凹とした風合いが出て、ボリュームが生まれ華やかさが増しています。

刺繍、絞り、地紋・・・と立体感が出る技術が使われているので陰影が出て、着姿に深みが出ていますよね!
帯結びやヘアアレンジはシンプル。振袖の豪華さが際立つ!
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引用:「NEWSポストセブン」
帯結びは「ふくら雀」。
振袖姿の帯結びの王道スタイルですね。
ふくら雀は繁栄の意味もあり、昔から結納やお見合いなどおめでたい場面の着物姿の時に用いられています。
帯の柄がよくわかる(帯の良さを見せられる)結び方でもありますね。
最後に、ヘアスタイルも見てみましょう。
引用:「NEWSポストセブン」
低めの位置でまとめ髪。髪飾りも大きすぎることなく、シンプルですね。
若い女性の振袖姿となると、高い位置でアップにして、ボリュームをしっかり出すスタイルをよく見ますが、とても落ち着いた印象。
着物の豪華さ、上品さを際立たせるには、このような落ち着いたヘアスタイルがマッチしますね。
愛菜ちゃん自身が美人で華があるので、シンプルなヘアスタイルで十分きれい!というのも大きいです。
まとめ:100年ものではなくとも、素晴らしいアンティーク振袖!!
100年前、とまではいかないようですが、織りや絞り、刺繍の職人さんの技術が結集した素晴らしい振袖。
作られてからこれまで、一度も袖を通されることがなかったそうで・・・いかに貴重なお品かということがわかります。
愛菜ちゃんの若さと清楚な雰囲気によくお似合いのお着物ですね。
ここまでの上等なお品は、美術館などでマネキンに着せているのは見ることがあっても、実際に人が着ているのを見るのは貴重なので、今後もずっとこの時の姿は着物ファンの記憶に残ることでしょう^^