こんにちは!着物ライターのカナです。
季節に応じて衣替えをする着物。
着物や帯の他にも、長襦袢も季節に応じていろいろな素材があるのはご存知ですか?

着物だけでなく長襦袢までいくつも揃えていたら、収納には困るし、出費も大変ですよね。
大丈夫!普段着として着物を楽しむなら、まずはポリエステルのみ購入すればOK!
さらに、一年通して着物を楽しむならポリの他に夏用の長襦袢を買い足しましょう。
その理由とは…?この記事をぜひ読んでみてください!
- 長襦袢の種類
- 長襦袢の季節に応じた使い分け
- 初心者ならポリエステルが使いやすい!
目次
正絹だけじゃない、長襦袢に使われる主な素材

着物に関する衣類=正絹(シルク)というイメージは強いですよね。
もちろん、長襦袢も冬用・夏用共に正絹素材は古くから使われています。
しかし、実は正絹以外にもさまざまな素材の長襦袢があるんですよ。
それぞれにメリット・デメリットや季節による向き・不向きがあるので、目的に応じて使い分けると着物をもっと快適に着こなすことができます。
正絹の長襦袢
正絹はもっともオーソドックスな長襦袢の素材です。
お母さまやおばあさまが着物一式をお持ちなら、一着はタンスの中にあるのではないでしょうか。
織り方などを変えることで、夏用・冬用どちらもあります。
- しなやかで体にフィットするので、着姿が美しく見える
- 静電気が起こりにくい
- 冬は温かい
- お手入れが難しい
- 価格が高い
長襦袢をピシッときれいに着ることができれば、長着(いわゆる着物)もきれいに着られます。

そのためには、しなやかに体に沿う正絹がベスト。
ただし、価格が高いこと、またお手入れが難しいことが難点です。
モスリンの長襦袢
モスリンとは、薄手の平織物。着物の世界では主に羊毛で織られた薄手生地を指します。
こちらも長襦袢の中ではポピュラーな素材で、主に普段着向きとして使用されます。
- 柔らかくて肌触りがいい
- 温かい
- 軽いので着付けしやすい
- 温かいので夏には不向き
- ウールが原料なので虫食いの心配がある
軽くて肌触りがよく、普段着として気軽に着物を着るにはおすすめの素材です。
昔からたくさん生産されていたので、リサイクル店などでもお手頃で手に入ります。
ただ、素材がウールなので暑い時期には不向き。
さらに、「虫食い」されやすく、気がつけば穴が空いていることもあるので注意です。
化繊の長襦袢
ポリエステルなど化繊の長襦袢もあります。
ポリエステルと一言で言っても、品質はさまざまなので、価格も幅広いです。
- リーズナブルなものが多い
- 洗濯が簡単
- 正絹のような高級な生地もある
- 通気性が無く夏は暑い(特殊素材は除く)
- 静電気が起こりやすい
- 滑りやすく着崩れやすいと感じる人もいる
何と言っても価格がお手頃なのは大きな魅力!
いくらリサイクルの着物がリーズナブルとは言え、何かと出費がかさむと大変ですもんね。

そして、化繊なので洗濯機で洗えるのも便利です。
お手入れが面倒だと、着物を着るのもだんだん億劫になってきてしまいますので、洗濯が簡単なのは大切!
最近では化繊も進化していて用途に応じて色々なタイプが出ています。
- お値段重視のリーズナブルなもの
- 正絹のように肌触りの良い高級感のあるもの(東レ「シルック」など)
- 夏用の「絽」タイプの涼しいもの(東レ「爽竹」など)
それぞれ特徴が異なるので「化繊」と一括りにするのは難しいですが…。

以前、別の記事でご紹介した「爽竹」という記事もポリエステルが使われています。
暑い、高い…など着物を着る人の悩みが解消できるような生地があるので、「着物はやっぱり正絹じゃないと!」とこだわることなく、化繊のメリットもどんどん取り入れるといいですよ!
麻の長襦袢
吸水性に優れ、さらっとした触感の麻の長襦袢は、夏用として好まれています。
- 吸水性・通気性に優れている
- 汗をかいても肌に張り付く感じがない
- 洗濯してもすぐ乾く
- 縮みやすい
- シワになりやすい
汗をかいてもすぐに乾き、肌に張り付く感じがないので、夏でも快適に過ごすには麻の長襦袢は断然おすすめです。
ただし、自宅でも洗えるものの、縮みやすくシワもつきやすいので注意が必要です。
洗濯の際は脱水時間をなるべく短くすること、なるべく手洗い(押し洗い)でやさしく洗うことでデメリットをカバーしましょう。
木綿の長襦袢
木綿の長襦袢もカジュアルな着物の際にはよく使われます。
- 洗濯が簡単
- 吸水性がある
- 比較的リーズナブル
- 夏に着ると暑い
- 滑りにくくゴワつくと感じる人もいる
お手入れも簡単で日常使いにぴったりの木綿の長襦袢。
着心地はいいですが、適度な保温性があるため暑い時期には向いているとは言いにくいです。
夏用として、綿レース生地で作られたものもありますが、レースとは言えどそこまで涼しさは感じられないです。

綿レースの長襦袢は、袖からチラリと見えるとかわいいし涼しげにも見えます。”自分が”というより”周りの人”に清涼感を与えるアイテムとも言えますね
長襦袢の季節と素材の関係

どの季節にどの素材の長襦袢を着るのがベストか、具体的にご説明します。
もちろん、お住いの場所の気候や”暑がり・寒がり”などの個人差がありますので、あくまでも「一般論+私の私見」となります。
悪しからず…!
月 | 素材 | 補足 |
1・2・3月 | 正絹、モスリン、ポリ | |
4月 | 正絹、木綿、綿レース、ポリ | GWくらいから夏日が増えます。着物は袷、長襦袢は夏物などもおすすめ。 |
5月 | 正絹、ポリ、綿レース、麻、爽竹 | 晴れた日はポリだと暑いかも…。 |
6月 | 綿レース、麻、爽竹、絽・紗 | 一般的なルール上は「単衣」の時期ですが、長襦袢は夏物じゃないと暑い日が多いです。 |
7・8月 | 麻、爽竹、絽・紗 | 綿レースだと暑いです。 |
9月 | 綿レース、麻、爽竹、絽・紗 | 残暑厳しい日が多いので、夏物が活躍します。 |
10月 | 正絹、ポリ、木綿 | 残暑厳しい時は袷の着物の下に爽竹でちょうどいい時も…。 |
11・12月 | 正絹、モスリン、ポリ |
<補足>「絽」「紗」の素材について
夏物の生地「絽」や「紗」は素材名ではなく生地の織り方の名前。
昔は絽も紗も正絹で作られていましたが、今ではポリエステル素材のものもあります。
ポリだと自宅で洗えて便利な反面、熱がこもるので暑く感じることもあります。
「絽」「紗」を購入の際は、素材まで確認しておいてくださいね。
季節に合わない長襦袢を着るのはマナー違反?

季節外れの長襦袢を着ることは、「普段着として」着物を着るなら問題ありません。
「マナー違反よ!」と叱られることは、よほど厳しい人でない限りはないでしょう。
例えば、以下のような場合。
- 12月に麻の長襦袢を着る
- 9月にモスリンの長襦袢を着る
暑がりの人で「冬でも暑くて汗をかく」のが悩みなら、涼しい素材の長襦袢を着たり、冷え性の人で冷房の効いたところへ出かけるなら、インナーである長襦袢だけでも厚手のものを着て調整すればいいのです。
長襦袢は「振り」の部分からチラっと見えますが、そんな細かいところまでチェックする人はあまりいません。

と、気づく人はきっと着物が好きな方でしょうから、「なるべく快適に着物を着たい」という思いは理解してくれるに違いない!…と思いますよ!
冬以外の季節OK!初心者がまず買うべきは断然ポリエステル


初心者さんがまず初めに長襦袢を買うなら、ポリエステルをおすすめします。
- リーズナブル
- 洗濯が簡単
やはりこの2つのメリットは大きいです。
着物を日常的に着る習慣がつくまでは、手間のかかるお手入れはなるべく省ける方がいいです!

初心者さんのうちは、夏は着物より浴衣の出番が増える人が多いです。
夏に着付け教室へ通ったり、夏に着物を着ていく用事がなければ、購入するのは後回しでも大丈夫ですよ。
- どういう機会に着ることが多いか(屋内?屋外?など)
- とにかく気軽に着たいか、マナーを重んじて着たいか
など、自分の趣味や着物に関する価値観が定まってから、それに見合う長襦袢を買い足していくのをおすすめします。
まとめ
長襦袢も着物同様、季節・気候によってたくさんの種類があります。
たくさん揃えられたらそれに越したことはありませんが、実際には難しいですよね。
そのため、初心者さんのうちは、リーズナブルなポリエステルから用意してはいかがでしょうか。
たくさんの着物を見たり触れたりするうちに、自分が欲しい長襦袢もだんだんわかってくると思います。

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