こんにちは!着物ライターのカナです。
「着物=暑い」から夏に着物は着たくない!という人はいませんか?
最近では4月の終わりや5月には汗ばむ気候となっていて、普段通りの着付けをしたら暑くて倒れそう…なんて思いをすることも。
だからと言って4月から浴衣や夏物を着る訳にもいかないし、どうにかして涼しく着られるようにしたいですよね。
そこで今回は、春から秋まで使える「着物の暑さ対策」についてお伝えします!
- 夏は暑くて着物を着るのが億劫になる
- 暑くなる時期に結婚式などで着物を着る予定
- 浴衣を着るときはいつも暑くてしんどくなる
- 着物や浴衣を快適に着るコツを知りたい!
目次
4月末には夏日も…。「着物の暑さ対策」は早めの準備がマスト!
しかし、例年ゴールデンウィークのお休みの頃にはお天気が良く汗ばむほどの暑さになることも多いですよね。
街ゆく人も昼間は半袖を着ていたり…。
そのため、着物の暑さ対策は夏に入る前に準備しておくとよいでしょう。
「涼しいから」と言って4月に夏の着物は避ける方が無難
4月に夏日(25度以上)を記録することもありますが、だからと言って「薄物」と呼ばれる真夏用の着物はまだ早すぎます。
普段着として楽しむだけなら、いつ・どんな着物を着ても自由。
4・5月に単衣を着る人も増えてきています。
しかし、薄物は文字通り生地が薄く透け感があるので「真夏用の着物」というのが一目瞭然!
本来4月に着るとされている袷の質感とは明らかに違うので、季節感が合いません。
4月に袷を着るのがどうしても「暑い!無理!」という場合は、単衣にチェンジするのはアリです。

袷や単衣の時期にも。着付け小物やインナーを夏用にチェンジ

着物の暑さに悩む人は多いですから、実は暑さ対策用の着物アイテムはたくさんあるんです。
外からは見えないインナーや小物を夏用に変えるだけでもかなり暑さを抑えることができますよ!

肌襦袢(はだじゅばん)
和装ブラとショーツの上に着る肌襦袢。
通年用のものだと綿素材が一般的ですが、蒸れにくくサラッとした触感の麻素材が夏用として作られています。
また、肌襦袢は裾除けとセットで着用しますが、これらが一体化してワンピースタイプになった「着物スリップ」も暑さ対策には便利です。
体を覆う部分は同じですが、お腹周りに生地が重なり合うことがないので、少しでも暑さの要因を取り除きたい人にはオススメです。
長襦袢
長襦袢にも夏向きの素材のものがあります。
一般的な長襦袢は正絹(シルク)またはモスリンですが、夏用として綿レースで作られたものが昔から使われてきました。

レースなので通気性もいいのですが、綿なので”めっちゃ涼しい!”とまでは行かないのが難点でした…
しかし、最近では「爽竹(そうたけ)」と呼ばれる新素材を使った長襦袢が涼しくて快適と評判です。
「爽竹」とは、竹を原料とした繊維にポリエステルなどを複合した素材でできた生地の名前。
吸湿性があり洗濯機で洗えてお手入れも簡単なので、真夏に着る長襦袢としてはこれ以上ない素材です。
- 吸湿性がありムレにくい
- ソフトな肌ざわり
- 消臭・抗菌性があり汗のニオイを防ぐ効果あり
- 洗濯機OK、アイロン無しでもシワにならない
リサイクルではまだほとんど出回っておらず、リーズナブルとは言い難いですが、扱いやすさを考えるとコスパはいい方ではないでしょうか。

暑さが残る秋口も快適に過ごせます!
肌襦袢と長襦袢がひとつになった「半襦袢」を活用する
半襦袢は着物を普段から着る人なら一枚は持っておくべきアイテムです。
半襦袢とは、肌襦袢に半衿がついたついたもの。
半衿がついているため長襦袢を着る必要がなく、一枚着るものが減る分暑さ対策になりますし、着付けの手間も省けます。

また、半襦袢は「筒袖(つつそで)」と言って袖の”振り”がないタイプが多いのも特徴。
アンティーク着物は袖丈が長く、現代物の長襦袢だと袖が合わないこともありますので、アンティークを好む人は「季節を問わず半襦袢を着ている」ということも多いです。
半襦袢は簡略化したアイテムなのでカジュアル着物向きとされています。
フォーマルな場所、さらに着物に詳しい人が集まる場所では長襦袢を着る方が安心です。
帯枕
お太鼓結びをするなら、帯枕を夏用に替えてみてはいかがでしょうか。
一般的な帯枕は通気性のないポリウレタン製が主流。
背中にペタッと沿わせるため、これを通気性のあるものに変えると暑さやムレ感が改善されます。
通気性のある夏用としてよくあるのが、ヘチマを使った帯枕。
ヘチマ素材なら穴がたくさん空いているので
- 通気性あり
- 軽い
- 柔らかく背中にフィットしやすい
などメリットも多いんです。
夏でもお太鼓結びをする機会が多いなら、ぜひひとつ夏用の素材を持っておくと重宝しますよ。
帯板
帯を巻くお腹周りはもっとも熱がこもりやすく暑さを感じるところ。
帯板を夏用の素材にぜひ変更を。

帯板は面積も大きいので「暑さ対策」の最優先ポイント!
夏用の帯板は主に以下の2つが主流。
- メッシュ
- ヘチマ
メッシュ素材のものは、浴衣を着るときに使ったことのある人も多いのでは?
メッシュの方が通気性がありリーズナブルですが、薄くて柔らかいのがメリットでもデメリットでもあります。
「柔らかい帯をよく使う」「シワなくピシッと帯を締めたい」という人には、メッシュ素材の帯板は心許ないという意見も。
初心者さんなら、まずはリーズナブルなメッシュから使い始めてみるのがおすすめです。
伊達締め
長襦袢や着物の上に締めて、着崩れを防ぐ役割のある伊達締め。
もともと薄手で体を覆う面積は少ないですが、暑さ対策を完璧にしたいなら伊達締めの素材にも注目!
昔からある伊達締めは正絹が多く、最近ではお手入れもしやすいポリエステルも増えています。
ポリエステル素材の中でも、メッシュでできたマジックテープタイプものが出ていますので、こちらを選ぶと正絹よりは暑さは感じにくくなりますよ。
腰紐
腰紐は伊達締めよりもさらに細く、腰紐によって暑さは大きくは変わらないですが、夏用の素材はあります。
腰紐は絹やモスリン素材が主流ですが、夏用として麻のものが使われています。
暑さ対策にすごく効果的!というわけではありませんが、汗をかいて腰紐もびっしょり・・・になることもありますので、ジャブジャブ洗えるという点では夏用として使うのは便利です。
「暑いから補正はなし」はNG!タオルを涼しい素材に変えるべし

着物でも浴衣でもタオルなどを使って体型を補正しますが、「暑いから補正はやめとこう」というのはおすすめできません。
何枚も体にタオルを巻いていたら熱がこもって暑いのは事実ですが…、タオルには”補正”以外の効果もあるんです。
それは「汗を吸い取って着物や浴衣の傷みを防ぐこと」。
汗が着物についてしまうと、シミの原因になり、着物の劣化を早めることになってしまいます。
洗える素材で着た後にすぐ洗濯できればいいのですが、それでも洗い残しがおこることもありますよね。
着物を大切にするためにも、なるべく補正をして肌に直接着物が当たらないようにする方が望ましいです。
ヘチマやメッシュ素材の補正パッドで暑さ対策
綿素材のタオルに代わり、夏向きの補正パッドを使用すると暑さ対策にはかなり効果的です。
ヘチマやメッシュを使ったものが夏用として作られています。
専用の補正具だとベルトで簡単に着脱できるので、着付けの時短にもなりますよ!
着物姿に「ひんやりアイテム」をプラスして暑さ対策をする
着物用のアイテムではありませんが、着物好きの人が実践している暑さ対策をご紹介します。
保冷剤をしのばせる
ケーキなどを購入した時に入っている「保冷剤」。
着付けが終わった後に帯の内側に差し込んでおくと涼しくなります。
差し込むのは太い血管の通っている両脇の下あたりがおすすめ。
時間とともに効果は薄れますので、短時間のお出かけの時に試してみてください。
制汗スプレーは着物を着る前に
洋服を着るときに制汗スプレーを使う人は多いですよね。
暑さ対策というより、汗をかいた時の不快感を防ぐのが本来の目的ですが、スプレーした時のひんやり感が気持ちよくて、暑い時に使う人も多いのではないでしょうか。
着物の日に使うなら、着物を着る前に使ってくださいね。
万が一、着物にスプレーの薬剤がかかってしまうとシミや変色の原因にもなってしまいますので要注意です。
まとめ:袷や単衣の着物でも、小物次第で暑さ対策はできる
「着物は暑くてツライ」とは、多くの人が抱える悩み。
それだけに、暑さ対策のアイテムは意外とたくさんあるのです。
袷、単衣…など季節によって着るものを変えるのが着物の慣習ですから、外からは見えない襦袢や小物類を変えることで自分に合った暑さ対策をしてみてください。
快適に着られるよう、自分なりに工夫するのも楽しいですよ!
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